航空宇宙工学科の歴史

学科の沿革だけでは分からない、航空宇宙工学科の歴史を少し紐解いてご紹介します。

黎明期(~1970年代)

1947年、工学部(現在の理工学部)機械工学科に木村秀政先生が教授として着任されたのが当学科のはじまりと言われています。きっかけは、東京大学航空研究所の同僚であった粟野誠一先生(当時機械工学科教授)からのお誘いでした。木村秀政先生は、戦前の日本の航空界を代表する「5人のサムライ」のひとりです。戦後国産初のプロペラ旅客機YS-11の開発プロジェクトにも参加されています。機械工学科の中に航空専修コースができたのは、木村先生が着任されて9年後の1956年のことです。

その後、東京大学から航空工学の佐貫亦男先生、流体力学の谷一郎先生が日本大学へ着任されてきました。1972年にコース名の改称(航空宇宙工学コース)、1978年に学科創設(航空宇宙工学科)となりました。

  • 木村秀政先生

    木村秀政先生

  • 粟野誠一先生

    粟野誠一先生

  • 佐貫亦男先生

    佐貫亦男先生

  • 谷一郎先生

    谷一郎先生

在籍された主な先生方(順不同、敬称略)

木村秀政,橋本直輔,牧野光雄,柚原直弘,佐貫亦男,野口常夫,池田健,谷一郎,松原一雄,川島孝幸,嶋田有三,安部建一,石川芳男,安田邦男,河村龍馬,末澤芳文,横井錬三,宗像弘祐,江良嘉信,本橋龍郎,佐藤親俊,松金久雄

研究テーマ例
  • N-70モーターグライダーの設計・試作
  • 人力飛行機の設計・試作
  • 単座ヘリコプターの試作設計製作
  • 浅底水槽による高速気流の研究
  • ポータブル空中調査機の試作
  • 手動操縦系統をもつ飛行機の飛行性の研究
  • グライダーの曳航安定性に及ぼす曳航策の影響の研究
  • 走行中の自動車の風圧分布について、流体素子の実験的研究
  • 自動着陸方式の研究
主なできごと
  • 1956年

    工学部機械工学科に航空専修コース(航空宇宙工学科の前身)を設置

  • 1972年

    航空専修コースを航空宇宙コースに名称変更

  • 1977年

    理工学部に航空宇宙工学科(定員120名))を設置

  • 1978年

    航空宇宙工学科創設

  • 1979年

    日本大学大学院理工学研究科博士課程(前期・後期)に航空宇宙工学専攻を増設

成長期(1980~90年代)

木村先生は1984年に80歳を迎えられ、教壇を去られました。一方で、新たな先生方の活躍が目覚ましくなってきました。1981年に着任された内藤晃先生は、1985年頃から川島・本橋両研究室との3研究室共同プロジェクトとして人力ヘリコプターに取り組まれました。1994年3月7日には人力ヘリコプターYURI-Iが、日本航空協会の公式試験で高さ20cm、滞空時間19.46秒の飛行に成功しました。さらに8月には、シアトルのデモ飛行で27秒の非公式記録を残しました。

内藤晃先生

内藤晃先生

人力ヘリコプターYURI-I

人力ヘリコプターYURI-I

在籍された主な先生方(順不同、敬称略)

木村秀政,橋本直輔,牧野光雄,柚原直弘,佐貫亦男,野口常夫,池田健,松原一雄,川島孝幸,嶋田有三,安部建一,石川芳男,安田邦男,河村龍馬,末澤芳文,横井錬三,宗像弘祐,江良嘉信,本橋龍郎,佐藤親俊,松金久雄,内藤晃,出井裕,松本彰,山口幹郎,村松旦典,牛島正道,髙橋賢一,中村義隆,青木清,志甫徹,宮下純一,宮崎康行,田辺光昭

研究テーマ例
  • 熱線濃度計を利用した混合ガスの濃度と速度の測定法に関する研究
  • ビークルの手動制御におけるアクティブ操舵力フィードバックの活用とその効果に関する研究
  • Experimental and Computational Study of Boundary Layer Transition by Two-Dimensional Roughness(二次粗さによる境界層遷移の実験的・数値計算的研究)
  • ヘリコプター・ロータ・ブレードの低振動化設計に関する基礎研究
  • 内圧により大きく変形する可変断面翼の研究
  • 回転する翅果の飛行に関する研究
  • ヘリコプターロータの調和操舵応答
  • 射出成型用金型のための設計用エキスパートシステムに関する研究
  • 自動車のモデル化と適応操舵系に関する研究
  • 人間オペレータによるシステムの故障探知に関する研究
  • ヘリコプターのTip-Vortexの推定に関する研究
  • 複数胴体ロケットの空力干渉
  • C*モデル規範型適応飛行制御系の研究
主なできごと
  • 1980年

    航空宇宙工学科、船橋校舎3号館へ移設

  • 1996年

    習志野校舎を船橋校舎に名称変更

発展期(2000年代~)

日本大学理工学部は人力飛行機の開発において長い歴史を持っています。1966年に日本初の人力飛行を成功させたLinnet Iを皮切りに、1977年に非公式ながら世界記録を樹立したStork B、1990年にFAIルールに基づく日本記録を樹立したMöwe 6改があります。2005年にはMöwe 21が日本記録を更新しました。2019年には第42回鳥人間コンテスト・人力プロペラ機部門で学生記録を更新するなど、伝統は続いています。

  • Linnet I

    Linnet I

  • Stork B

    Stork B

  • Möwe 21

    Möwe 21

実機に触れながら学べることは当学科の強みのひとつです。例えばグライダーの曳航実験は、川島・村松・宮崎・田辺研究室の共同プロジェクトとして開始されました。その際、卒業研究として実験機材の開発等が実施されました。曳航実験は現在2年生の航空宇宙工学実験Iの夏季集中授業として実施されています。

  • 曳航実験
  • 曳航実験

航空分野だけではありません。宮崎研究室では、学生を主体とした超小型人工衛星の開発を開始しました。Can Sat,Cube Satプロジェクト、衛星設計コンテストに参加し、数々の賞を受賞しています。

これまでにSEEDS,SEEDS‐II,SPROUT,NEXUSを打ち上げ、現在SEEDS‐II,SPROUT,NEXUSが運用されています。

SEEDS,SEEDS‐II,SPROUT,NEXUS

2007年には、嶋田・宮崎両先生を中心とした文部科学省の特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)「未来博士工房による自律性と想像力の覚醒」の申請が採択され、理工学部の中に「未来博士工房」が設立し、当学科では衛星工房、人力飛行機工房がスタートしました。その後、航空宇宙工房と名称を変え、現在は人力飛行機プロジェクト、衛星開発プロジェクト、飛行ロボットプロジェクト、日大ロケット研究会、日大自作ジェットエンジンプロジェクト、宇宙科学研究会が活動を続けています。

在籍された主な先生方(順不同、敬称略)

牧野光雄,柚原直弘,江良嘉信,中村義隆,志甫徹,川島孝幸,嶋田有三,安部建一,石川芳男,安田邦男,末澤芳文,本橋龍郎,佐藤親俊,牛島正道,松原一雄,出井裕,村松旦典(村松・菊池研究室),髙橋賢一(髙橋・髙橋研究室),宮崎康行,田辺光昭(田辺研究室),大竹智久(大竹研究室),内山賢治(内山研究室),桒原卓雄,安部明雄(安部研究室),中根昌克(中根研究室),山﨑政彦(山﨑研究室),阿部新助(阿部研究室),佐々修一,小宮良樹(小宮研究室),菊池崇将(村松・菊池研究室),齊藤允教(齊藤研究室),増田開(内山研究室),髙橋晶世(髙橋・髙橋研究室),布施綾太(阿部研究室),奥山圭一(奥山研究室),ロドリゲス・ラファエル(奥山研究室

研究テーマ例
  • Anchoring Location of Triple Flame under Acoustic Oscillations(音響振動を受けるTriple Flameの保炎位置)
  • 金属粒子を添加したガスハイブリッドロケットの2次燃焼室内の燃焼特性、AP系コンポジット推進薬の燃焼表面近傍の反応層でのアルミニウム粒子の集塊と着火
  • 微小生態系における空間の効果・個体ベースモデルのモデル柔軟性と実生態系解析への応用
  • 低レイノルズ数における翼型周り流れ場の三次元化と空力特性
  • 膜面宇宙構造物の非線形構造ダイナミクスの低次元化手法の研究
  • 低レイノルズ数領域での翼型の空力特性と流れ場の研究
  • 個体ベースモデルを用いた微小生態系の解析
  • 厳密な線形化法によるスペースプレーンの誘導制御方式の研究
  • 低レイノルズ数における定常・非定常翼型空力特性の実験的研究
  • 機能的適合性を体系的に考慮した企業情報システムの基本設計技術に関する研究
  • 再生型生命維持システムの概念設計支援ツールの開発に関する研究
  • 低レイノルズ数領域におけるNACA0012翼型の空力特性
  • 急出発する物体まわりの流れと流体力に関する実験的研究
  • ドライバーの運転意図に適応可能な知的操舵支援システムに関する研究
  • 流動する加熱流体の温度と速度の測定:熱線を使用した新しい温度測定法の開発
  • 無線局間精密クロック同期を利用した衛星測位に関する研究
主なできごと
  • 2007年

    文部科学省 特色ある大学教育支援プログラム採択(特色GP)、人力飛行機工房・衛星工房採択

  • 2018年

    航空宇宙工学科40周年