日大自作ジェットエンジンプロジェクト

日大自作ジェットエンジンプロジェクトでは、学生主体で小型で構造が簡単でも効率よく高速飛行できる新たなジェットエンジンを開発するプロジェクトを進めています。過去の航空宇宙工学科の卒業研究で実施したマイクロジェットエンジンの開発をもとに、一部を電動化することにより、電気機器のもつ簡便さや制御性の良さと燃料の燃焼による高エネルギー利用を組み合わせたハイブリッドジェットエンジンを目指しています。プロジェクト活動の様子はこちらの日大自作ジェットエンジンプロジェクトのFacebookページでも報告中です。

日大自作ジェットエンジンプロジェクト

これまでに、基本構造となるモータージェットエンジンを開発してきました。燃焼器とノズルを設計製作するとともに、性能測定用のベンチを制作し、実際に燃焼試験を実施して推力を測定する段階まで到達しました。プロジェクトメンバーは電動ファン・燃焼器・ノズルについて勉強することから始め、反応性流体の数値シミュレーションなどのスキルを身につけて、実際に設計製作に携わります。海外研究機関からの訪問者に英語で説明したり、オープンキャンパスで高校生に説明したりと、外部への発表の機会もあり、ものづくりをするだけでなく、計画立案からアウトリーチまでを含めた一連のプロジェクト体験ができる場でもあります。

大学院生や4年生の経験者を指導者とし、エンジンの魅力を知ると共に開発体験の共有によって、学年を超えた絆を広げてもらい、どこにもない素晴らしいエンジンをみんなでつくることを目指しています。

ジェットエンジンを電動化する

現在用いられているターボジェットやターボファンエンジンはコアエンジンとしてガスタービンエンジンを内蔵しています。ガスタービンエンジンは高温動作で高効率となる熱機関であり、その燃費性能がタービン材料の耐熱限界によって限定されています。高価な耐熱材料や複雑な加工を要する冷却構造を用いずに低価格で製作できるエンジンとするには、タービンを用いないエンジンが求められています。タービンは圧縮機を駆動する目的で駆動力を発生させていますが、これを電動機に取り換えることで低価格のモータージェットエンジンとして動作させることができます。

  • 電動ジェットエンジンの燃焼運転試験

    電動ジェットエンジンの燃焼運転試験

  • 自作ターボジェットエンジンの運転試験とエンジン音収録の様子

    自作ターボジェットエンジンの運転試験とエンジン音収録の様子

プロジェクトOBらの研究によって電動機の電力はSOFCなどの電源を用いる(特開2015-161214)ことで従来型のエンジンよりも高速域で効率的な推進ができることを明らかにしており、最終的にはそれらを統合したエンジンとしてデモ運転まで行う予定です。

アウトリーチ活動

プロジェクトの活動は公開FBページ「日大自作ジェットエンジンプロジェクト」にて情報発信しています。見学等に随時対応し、他大学の団体にノウハウを説明したり、高校の学園祭やオープンキャンパスにて、電動ダクテッドファンエンジン(燃焼を使わない)の推力を感じてもらう体験デモや衝撃波が見える超音速ジェットの可視化実験等を通じてジェットエンジン技術について啓蒙活動を行っています。

また、電動化以前に開発した自作ターボジェットエンジンはプロジェクトメンバーがエンジンの運転を通してエンジン特性や技術課題の把握、運転スキルの取得等に利用していますが、そのエンジン音を収録したものが、映画「いぬやしき」の空を飛ぶ際の効果音の音源として利用され、役立っています。テストベンチも含めて全て自作であることから、エンジンの様々な場所にマイクを設置し、多種多様な機械音やジェット音が収録でき、エンジンが発する音の魅力も伝えています。

活動の様子と開発したエンジン・テストベンチ

活動の様子と開発したエンジン・テストベンチ