NHK番組「コズミックフロント」に阿部准教授と研究室の学生達が出演しました

2023年3月30日

NHK番組「コズミックフロント」に阿部新助・准教授と研究室の学生達が出演しました

密着!超小型探査機の冒険

放送日:2023年4月6日(木) 22:00~ 22:59 BSプレミアム・BS4K
再放送:2023年4月10日(月) 17:00~17:59 BSプレミアム

NHKオンデマンド配信(見逃し配信)

日本大学理工学部航空宇宙工学科・阿部新助 准教授が主導して,電気通信大学,東京大学,JAXAおよび主要メーカーらと共同で開発した月面衝突閃光観測カメラ「デルフィヌス(DELPHINUS)」は,東大・JAXAの6U(30x20x10cm角)超小型探査機「エクレウス(EQUULEUS)」に搭載されて,2022年11月16日,NASAアルテミス計画1・月大型ロケットSLSの10機の相乗り衛星の1つとして打ち上げられた.地球周回軌道を脱出後にロケットアダプターから放出されたエクレウスは,気化させた水を排出して推進力を得る水エンジン(水レジストジェット「アクエリアス(AQUARIUS)」)を使った独自の運用を開始した.チェックアウト運用(宇宙空間での様々な機能試験),軌道修正運用を経てデルフィヌスによるファーストライト撮像(宇宙空間での最初の撮影)を行った後,エクレウスは月周回(フライバイ)軌道に向かった.デルフィヌスに搭載した(本来の月面衝突閃光観測とは異なる)1/4000秒の高速シャッターモードを用いて,地球からは非可視中の月フライバイ時にタイムライン撮影を仕込み,月の裏側のタイムラプス撮影を成功させて,画像が地球に届くまでの様子が密着取材されている.

エクレウスは,月・地球スイングバイを繰り返して超小型深宇宙探査機 としては世界初となる,月・地球・太陽の重力が釣り合うラグランジュ点のうちの月の裏側に位置する地球(Earth)-月(Moon)系の第2ラグランジュ点(EML2)ハロー軌道へ,水エンジンを駆使して現在航行中である(約1年後に到着予定).EML2へ向かう軌道変換技術の開発・実証のほか,3つの科学観測;月・地球周辺の磁気圏プラズマ観測(PHOENIX),ダスト環境計測(CLOTH)と,デルフィヌス(DELPHINUS)を用いた微小隕石の超高速衝突に伴う月面衝突閃光観測ミッションを行う計画である(成功すれば,宇宙空間からの世界初の月面衝突閃光観測になる).

2022/4/21に放送されたコズミックフロント番組(研究室メンバーが出演

超小型探査機エクレウスの各種搭載装置・ミッション機器と開発担当一覧.

Time lapse of the far side of the moon超小型探査機「エクレウス(EQUULEUS)」が月をフライバイした際に月面衝突閃光観測カメラ「デルフィヌス(DELPHINUS)」が撮影した月裏の画像.昼夜の境目では,標高の高いクレーターに太陽光が当たっている様子が分かる(上).

月は自転と公転が同期しているため,常に同じ側を地球に向けており,月裏の大部分は地球からは見ることができない.月の表には海(低地)が多数分布(約30%)するのに対し,裏側には海がほとんどなく(約2%),高地が占めている.この表裏の異方性についての詳細は分かっていない.月面の標高地図に,今回,デルフィヌスが撮影した連続画像を貼り付けた(下).超小型探査機エクレウスが月の裏側から表側へ月面高度約5000-6000kmをフライバイする際の太陽離角90度(探査機のほぼ直下)を撮影した様子が分かる.

デルフィヌス(DELPHINUS)が撮影したZTF彗星(Comet C/2022 E3).ZTF彗星は太陽系の果てのオールト雲からおよそ5万年ぶりに太陽に接近し,2月2日に地球に最接近した長周期彗星が高速移動する様子を捉えた. 彗星の右側に広がる塵(ダスト)の尾と左側に直線上に伸びるガス(プラズマ)の尾がうっすらと見えている.

  • 撮影時刻(UT):2023/02/12 17:36 – 21:36
  • 撮影間隔:10分
  • 露光時間:16秒
  • 探査機-彗星間距離:約6945万km
  • 探査機-地球間距離:約34万km

参考資料;