地球-月衝突天体を探る!

2021年12月10日

約46億年前の太陽系初期から惑星に取り込まれなかった生き残りが彗星や小惑星です.これらの小天体を調べることは,太陽系の進化と生命の起源について知ることに繋がります.阿部研究室で取り組む研究は,望遠鏡や探査機による小天体の観測や探査,そして,小天体から地球や月にやってくる流星体による天体衝突現象です.

大気との衝突で発生する流星発光からは,流星体の組成,サイズ,軌道が分かります.また,月面に衝突した比較的大きなcmサイズの流星体は,月面衝突閃光として観測されます.これらの自然現象を理解することは,地球大気突入現象,天体衝突現象に伴う発光物理の総合理解や将来の月面活動のリスク評価にも繋がります.

太陽系小天体の知の最前線の研究に取り組める環境と機会を生かし,幅広い理工系の知識と経験を会得できるのが本研究室の特徴です.

月面班がガンダム望遠鏡にて月面衝突閃光観測に挑む様子.直径cmサイズの流星体が月面夜側に衝突すると1/10秒〜1/100秒の短時間の発光が可視光〜近赤外線で生じる.数時間〜10時間に1回程度しか発生しない一瞬の輝きを撮影・分光することによって,衝突体の大きさ,衝突頻度,発光温度などの物理を探究をする.晴天率が上がり,透明度も良くなる冬場が観測シーズン.防寒対策をして巨大なガンダム望遠鏡とCMOSカメラ群,複雑な制御ソフトをてきぱきと操作する先輩はカッコ良い!2022年の月面班は,超小型探査機で深宇宙にも進出予定!

流星班が観測・性能評価を担当する流星観測システム「DIMS」を長野県・東京大学木曽観測所に設置.同型カメラシステムを,東京大学宇宙線研究所・明野観測所(山梨県)にも設置・遠隔操作して,微光流星の2点観測を実施中.流星群の夜には,分光カメラも稼働させて,流星発光の組成に関する情報も取得.シュラフ(寝袋)に入り満天の星空を見上げれば,見事な天の川や流星が乱舞する暗黒の宙に吸い込まれる.DIMS(暗黒物質と太陽系外流星の探索)国際プロジェクトの隔週ミーティングは,外国人共同研究者らと英語で行われているので,英会話必須!

月面班と流星班のコラボ実験実施中.JAXA宇宙科学研究所の超高速衝突実験装置を用いた,衝突閃光と人工流星実験に取り組んでいる.2段式軽ガス銃を用いて,秒速約7kmまで加速されたmmサイズの弾を月面を模擬した砂や氷ターゲットに衝突させる.真空中での衝突に伴う未解明の発光物理を調べるため,1/100万秒以下の超高速度分光・撮像を実施.一方,真空チャンバー内の圧力を上げて地球大気を再現すれば,人工流星が発生するため,超高速度分光・撮像からアブレーションと呼ばれる流星発光物理の探究にも活用.紫外線・可視光・赤外線まで広範囲の波長をカバーするカメラを10台以上稼働させるため,ほぼ研究室総動員で実験に参加してカメラ操作技術と実験のセンスを磨く!世界最高性能のカメラ群を操作できるのでマニアにはたまらないはず!