共同研究・科研費プロジェクト

当学科の共同研究や科研費プロジェクトをご紹介します。

動力学系・制御工学系拡張モデル予測制御を用いたQTW-UAVの完全自律飛行の実現

内山・増田研究室,増田開(研究代表者)

研究プロジェクト内容紹介
ドローンを用いた配送を大手通販企業等によって検討されている。それらで用いることが想定されている通常のドローンは、垂直離着陸が可能でどんな場所からも離陸、着陸が可能な点や空中静止等の複雑な飛行を行うことができる。一方で、旅客機のような翼の備えた固定翼型航空機と比較して飛行できる距離が短く、飛行速度が遅い欠点がある。また、故障等における墜落のリスクも無視できない。そこで、固定翼型航空機とドローンの両方の特性を有するクワッドティルトウイング型無人機(QTW-UAV)を開発する。本研究では、QTW-UAVの実用化を目指し、物資配送の完全自立飛行の実証を目的とする。
  • 拡張モデル予測制御を用いたQTW-UAVの完全自律飛行の実現
  • 拡張モデル予測制御を用いたQTW-UAVの完全自律飛行の実現

構造・材料工学系超小型衛星による電離圏観測と地上観測網を融合した早期地震警戒システムの研究

山﨑研究室,山﨑政彦,青木義男(精密機械工学科教授),吉開範章(数学科特任教授)

研究プロジェクト協力機関
静岡県立大学,フランス大気環境宇宙観測研究所(LATMOS),一般財団法人WNI気象文化創造センター,東京大学地震研究所
研究プロジェクト内容紹介
近年地震発生の時間的・空間的相関が特に高いとみられる電磁気学的現象(電離圏電子密度変動)が有望視されています。もし、人工衛星でこれらの観測をすると全球の地震に対して短期間で調査できるため、先行的に研究が進んでいる力学的・地球化学的の地震先行現象と並んで、地震発生予測に早期に貢献するようになります。本プロジェクトでは、人工衛星を用いて4つの割合(『異常あり-地震あり、異常なし-地震あり、異常あり-地震なし、異常なし-地震なし』)を示し、地震先行的電離圏変動が統計的に地震の前兆であることを示したいと考えています。
  • 超小型衛星による電離圏観測と地上観測網を融合した早期地震警戒システムの研究

    統計的に有意な電離圏地震先行現象(下部電離圏・D領域)と衛星観測の概略図

  • 超小型衛星による電離圏観測と地上観測網を融合した早期地震警戒システムの研究

    電離圏変動現象観測超小型衛星Prelude(プレリュード)

熱工学系宇宙と地上と人をつなぐ社会実装拠点構築

髙橋・髙橋研究室

研究プロジェクト協力機関
神奈川大学,㈱フルハートジャパン,ツツミ産業
研究プロジェクト内容紹介
神奈川大学工学部機械工学科の高野 敦教授を中心に、大学、企業、町工場が集まり、「宇宙連携拠点」を構築しようとしています。それぞれの得意な分野を受け持ち、協働し、小型ロケットによる小型の宇宙輸送の実現を目指すための拠点を作ります。小型ロケットには、安全性、低コスト、低環境負荷が実現可能なハイブリッドロケットを使用します。宇宙連携拠点から持続可能な小型宇宙輸送を実現させるのが我々の願いです。またハイブリッドロケットを構成するデバイスであるテレメトリ装置・コマンド装置、データロガー、チタンタンク、分離機構などを製品化・事業化する計画です。特にテレメトリ装置はすでに製品化・販売された実績を有します。
宇宙と地上と人をつなぐ社会実装拠点構築

熱工学系ハイブリッドロケット推進薬の安全性に係る燃料粉塵化の定量評価に関する研究

髙橋・髙橋研究室,髙橋晶世(研究代表者)

課題番号等
日本学術振興会 科学研究費助成(若手研究)19K15212
研究協力機関等
防衛大学校,産業技術総合研究所,千葉工業大学,宇宙航空研究開発機構
研究プロジェクト内容紹介
ハイブリッドロケットは、小型衛星打上げや有人飛行用として近年活発に研究開発され、実運用開始の近いロケットエンジンである。本研究ではそのハイブリッドロケットの安全性を評価する上で重要な燃料の粉塵化を定量的に評価する方法を構築することを目的とする。燃料の粉塵は爆発的な燃焼を発生し得るため危険である。ハイブリッドロケットの燃料として多用されているプラスチック類の塊を破砕して粉塵を生成する試験を実施し、粉塵質量と試験パラメータの関係を整理し、粉塵質量が定量的に評価できるようなモデルを作成する。これにより、粉塵質量に影響を与える物理量が特定されるため、安全のために燃料が備えるべき性質等が明らかになる。
  • ハイブリッドロケット推進薬の安全性に係る燃料粉塵化の定量評価に関する研究
  • ハイブリッドロケット推進薬の安全性に係る燃料粉塵化の定量評価に関する研究

熱工学系深層学習を用いた低次元化手法による冷炎ダイナミクスの解明

齊藤研究室,齊藤允教(研究代表者)

課題番号等
日本学術振興会 科学研究費助成(若手研究)21K14347
研究期間
2021年度-2024年度
研究プロジェクト内容紹介
液体燃焼の自発点火時に冷炎と呼ばれる炎が生じます。冷炎は特定の条件下で振動することが明らかになっていますが、その動力学的ふるまいが自発点火にどのような影響を及ぼすのか、またどのような状態量が振動に影響を及ぼしているのか明らかになっていません。本研究では、深層ニューラルネットワークと呼ばれる脳の神経回路を模したアルゴリズムを冷炎の分析手法として適用し、どのような状態量が振動を支配しているのかを明らかにしていきます。

熱工学系天然ガスの組成および燃焼器内の温度分布がノッキング強度に及ぼす影響の調査

齊藤研究室,齊藤允教(研究代表者)

課題番号等
一般財団法人笹村工学奨励会 研究奨励寄付金による助成
研究プロジェクト協力機関
株式会社IHI原動機
研究期間
2020年度-2021年度
研究プロジェクト内容紹介
天然ガスの異常燃焼のしやすさは、これまでメタン価と呼ばれる指標が用いられてきました。一般的にメタン価が低いほど異常燃焼が生じやすいですが、メタン価は天然ガスの組成で一意に定まるものではなく、異なる組成でも同一のメタン価となる組成が存在します。本研究では、メタン価に代わる新たな指標を提案すべく、燃料組成の違いによって異常燃焼によって引き起こされるエンジンへの負荷がどのように変化するか調査しています。同時に、異常燃焼が生じた際のエンジンへの負荷は、燃焼器内の温度分布にも影響を受けることが予想されており、光学的な手法による燃焼室内の温度分布測定も試みています。
天然ガスの組成および燃焼器内の温度分布がノッキング強度に及ぼす影響の調査

燃焼器内を高速で伝播する自発点火

熱工学系PHOENIX-II(冷炎ダイナミクスに関する日独共同ロケット実験)

田辺研究室齊藤研究室髙橋・髙橋研究室

課題番号等
JAXA/ISAS 小規模計画
PHOENIX-II
研究プロジェクト協力機関
JAXA宇宙科学研究所,日本大学生産工学部,山口大学,九州大学,IHI検査計測,ESA(ヨーロッパ宇宙機関),DLR(ドイツ航空宇宙センター),University of Bremen(ZARM),Brandenburg University of Technology,Swedish Space Center, Airbus DS
研究プロジェクト内容紹介
安全なエンジン実現のために、ロケットエンジンの爆発や低燃費型ジェットエンジンの燃焼振動、デトネーションエンジンの起動などに重要な役割を果たすと考えられる冷炎現象に関する基準データを宇宙実験で取得することを目的としています。燃料が高温に晒されて燃え始める前に現れる700K程度の低温の炎を分光観察し、その動的振る舞いを記録しAI技術を用いて解析することで爆発等の発生過程の非線形力学系モデルを構築します。場を乱す自然対流を抑制するために高度約250kmの宇宙空間に装置を打上げ、微小重力環境で実験を行います。日欧の宇宙機関の共同実施ですが、航空宇宙工学科がリーダーを務めているプロジェクトです。
  • PHOENIX-II
  • PHOENIX-II

熱工学系ニューラルネットワークを用いた燃焼振動の低次元化解析

田辺研究室齊藤研究室

課題番号等
JSPS科研費 基盤研究(C)課題番号:17K06950
研究プロジェクト内容紹介
高温高圧のロケットエンジンの燃焼室は燃焼振動とそれによる爆発を起こすことがあり、エンジンの安全性向上のために機構解明が必要です。エンジン内部の燃焼振動は分岐やリミットサイクル挙動を示し、非線形力学系で記述されることが分かっているものの、現象が複雑なために状態の推定や予測が困難で、制御不能の現象の一つとなっています。この研究では最新のAI技術の中核として用いられる深層神経回路を、詳細なデータが得られる燃焼の数値シミュレーションと組み合わせて応用しビッグデータ解析を行うことで、一見ランダムで予測不能と思える複雑現象を整理・抽象化し、研究者が現象追跡できる形にデータ処理する手法を開発しています。
ニューラルネットワークを用いた燃焼振動の低次元化解析
ニューラルネットワークを用いた燃焼振動の低次元化解析

流体工学系暗黒物質と太陽系外流星観測

阿部研究室,阿部新助

課題番号等
http://abelab.net/DIMS/DIMS_2020.pdf
研究プロジェクト協力機関
甲南大,大阪電通大,トリノ大,ポーランドNCBJ,理研,東大宇宙線研,ユタ州立大,イタリアINAF,他
研究プロジェクト内容紹介
宇宙の暗黒物質は、その存在が確実視され世界中で研究に取り組まれているが、未だその本性を捉えることができていない。暗黒物質の候補の一つであるNucleariteと太陽系外を起源とする流星体がそれぞれ秒速100〜200kmを超える超高速微光流星として発光することが予想されることから、超高感度CMOSカメラを用いた無人観測システムを構築し、国内外に複数台を設置して軌道(速度と到来方向)を決定する立体観測を実施する。阿部研究室では、DIMS観測システムの構築・性能評価と、世界初の太陽系外流星の光学観測に取り組んでいる。
暗黒物質と太陽系外流星観測

©甲南大・日大・DIMSチーム

流体工学系MUレーダーとTomo-e Gozenによる微光流星の同時観測

阿部研究室,阿部新助

課題番号等
https://tomoe.mtk.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/ja/
研究プロジェクト協力機関
東京大,スウェーデンIRF,国立極地研究所,国立天文台,京都大・生存圏研究所
研究プロジェクト内容紹介
本研究では、これまで観測的に困難であった直径数10μm〜数100μm(質量μg〜mg程度)の流星体のサイズと軌道を精度良く決定し、微小な流星体のサイズ分布と起源を明らかにする。観測は、京都大学生存圏研究所・信楽MUレーダー観測所と東京大学木曽観測所・Tomo-e Gozenカメラを用いた電波と光学の同時観測を実施して、可視光等級で約11等級の微光流星を検出できる手法を確立した。「ふたご座流星群」の母天体である活動小惑星Phaethonをフライバイ探査する「DESTINY+」によるダスト検出量を推定する上でも重要となる微光流星のサイズ分布の決定と、分光観測による組成分布の解明も目指している。
MUレーダーとTomo-e Gozenによる微光流星の同時観測

流体工学系小惑星探査「DESTINY+」

阿部研究室,阿部新助

課題番号等
https://destiny.isas.jaxa.jp
研究プロジェクト協力機関
千葉工業大,JAXA,Lowell天文台
研究プロジェクト内容紹介
DESTINY+は、惑星間航行中にダストを捕集して分析を行い、小惑星(3200)Phaethonのフライバイ探査を行う。従来の深宇宙探査機が、ロケットで惑星間空間に一気に投入されるのに対し、DESTINY+では小型のイプシロンロケットで地球周回の長楕円軌道に投入され、1〜2年かけて燃料消費の桁違いに少ないイオンエンジンで高度上昇し、月スウィングバイで加速して惑星間空間へ出発することで、低コスト・高頻度で持続的な深宇宙探査を技術実証する。Phaethonは「ふたご座流星群」の母天体であり、活動的なC型(炭素質)小惑星では最大級の直径約6kmの地球衝突危険性天体で、映画アルマゲドンを彷彿させるミッションである。ふたご座流星群と小惑星Phaethonの地上観測でもミッションに貢献している。
小惑星探査「DESTINY+」

©JAXA・Arecibo Observatory・日大

流体工学系人工流れ星プロジェクト「SKY CANVAS」

阿部研究室,阿部新助

課題番号等
https://star-ale.com
研究プロジェクト協力機関
㈱ALE,東京都立大
研究プロジェクト内容紹介
天然の流星と人工物体の大気圏再突入時の発光物理過程の詳細を解明するために、組成・突入速度・突入角度・形状・密度などが全て既知の人工流星体(流星源)を制御して大気圏再突入させ、予報された発生時刻・出現方向に科学観測機材を向けて、高精度のデータを取得する。このデータを解析することで、流星発光モデルの精緻化を行い、天然流星の理解を深めるだけでなく、地球の高層大気診断にも応用する。数百個の流星源を搭載した低軌道衛星から流星源を複数回に分けて放出して、時間と場所を指定した「人工流れ星」を発生させる低軌道衛星「ALE-3」の共同開発を行い、2023年に低軌道への打ち上げと観測実施を計画している。阿部研究室では、流星源の実験・開発と人工流星の地上観測などに取り組んでいる。
人工流れ星プロジェクト「SKY CANVAS」

©ALE・日大

流体工学系超小型探査機・地上望遠鏡・室内実験による月面衝突閃光の研究

阿部研究室,阿部新助,布施綾太

課題番号等
https://www.isas.jaxa.jp/feature/eq_om/eq_om_05.html
研究プロジェクト協力機関
東京大,電気通信大,JAXA,平塚市博物館,立教大,台湾・國立清華大/國立中央大
研究プロジェクト内容紹介
彗星や小惑星を起源とする直径が数cm以上の流星体が、秒速数10kmで月面に衝突すると、月面衝突閃光と呼ばれる0.01〜0.1秒程の短時間発光現象が可視光から近赤外線で観測される。しかし、地上からは観測条件が悪いため統計的なデータが不足しており、月軌道に近い深宇宙からの観測が望まれている。2021年度にNASA・SLSで打ち上げられる東大・JAXAが開発した超小型探査機EQUULEUSに搭載された阿部研究室で開発した月面衝突閃光観測カメラDELPHINUSによる宇宙からの月面衝突閃光観測や、研究室所有の月面観測専用ガンダム望遠鏡、JAXA超高速衝突実験施設を用いた実験などを通して、衝突閃光の発光物理や月面での有人活動のリスク評価に繋がる流星体の質量分布の解明を目指す。
超小型探査機・地上望遠鏡・室内実験による月面衝突閃光の研究

©東大・日大・JAXA