1000分の1G以下での燃焼実験

2021年11月18日

 地球の重力を1とすると,月は約1/6,火星は約1/3です.本学所有の落下塔は,実験装置の自由落下により,なんと1/1000以下の微小重量環境を短時間再現することが可能です.齊藤研究室では,落下塔により得られる微小重量環境下で,現在燃料の液滴の燃焼実験を実施中です.重力があると,自然対流が生じます.自然対流は自然界では重要な役割を果たしますが,液滴燃焼実験では分析を難しくする厄介者です.ところが,微小重量環境では,浮力による自然対流は無視できるほど小さいため,分析が非常にシンプルになります.
 実験では,「冷炎」と呼ばれる約600 ℃程度の温度の低い炎の観測に挑戦しています.冷炎は,高性能なジェットエンジンやロケットエンジンを開発していくために,解明しなければならない現象の一つです.写真は,落下塔内で実験装置を搭載する落下カプセルの準備をしている様子と,実験装置を制御するシーケンサと呼ばれる装置の動作プログラムをコーディングしている様子です.装置は学生が自ら設計開発したもので,加工・組立がほぼ終わりようやく運用となります.詳細は研究室のHPでもアップしていきますので,興味があれば是非チェックしてください!
https://aero.cst.nihon-u.ac.jp/saito/

落下塔内での作業風景

シーケンサ動作プログラムのコーディングと燃焼試験装置の動作確認