奥山研究室の挑戦!「てんこう2」
2021年10月8日
76,75,74・・・・63,62,61,60
「H-ⅡAロケット40号機,打上げ1分前です.」カウントダウンと一緒にアナウンスが聞こえてきます.
40,38,37,36・・・・18,17,16・・・・
10,9,8,7,6,5,4,3,2,1
2018年10月29日,13時08分の種子島宇宙センター,澄み切った青空に「てんこう」を載せたロケットが宇宙にまっすく駆け上がっていきました.
隣の学生の目は真っ赤で,涙がほほをしたたり落ちています.
打上げ後976秒に「いぶき2号」がロケットから分離され,ちょうど2000秒後に南極上空で「てんこう」が分離されました.
「てんこう」は高度610㎞の太陽同期準回帰軌道に投入され,直ぐに南米上空を通過していきました.
アルゼンチンの大学の友人局が最初の「てんこう」のモールス信号の声を聞いてくれ,その受信信号を送ってくれました.
学生たちの長い戦いが報われた瞬間でした.
現在,私たちは「てんこう2」を開発しています.
ミッション系・・・地球や宇宙を撮影し,銀河からやってくる宇宙線を観測する.
構造系・・・コンピュータやカメラ,宇宙線検出器などをロケット打上げ時の過酷な振動,衝撃から護る.
熱制御系・・・それら内部機器を許容温度範囲内に制御する.
通信系・・・船橋キャンパスから送信された指令を受け取り,また観測データを船橋キャンパスに送る.また,世界中にモールス信号の声を届ける.
電源系・・・「てんこう2」に元気いっぱいに働いてもらうため太陽電池で発電し,それをリチウムイオン電池で充電してエネルギーを蓄える.
全体制御系・・・「てんこう2」コンピュータで全ての動きをコントロールする.
奥山研の学生たちは,これら全てを担当して,自ら設計し,開発しています.
とても過酷な日々ですが,学生たちはH3ロケット初号機での打上げを目指して戦っています.
76,75,74・・・・63,62,61,60
「H3ロケット1号機,打上げ1分前です.」カウントダウンと一緒にアナウンスが聞こえてきます.
40,38,37,36・・・・18,17,16・・・・
10,9,8,7,6,5,4,3,2,1
2022年度のある日の種子島宇宙センター,澄み切った青空に「てんこう2」を載せたロケットが宇宙にまっすく駆け上がっていくことでしょう.
学生たちは,「てんこう2」が搭載されたH3ロケットにきっと感動の涙を流すでしょう.