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記念すべきトップバッターは、弓道五段の腕前を持ちながら、キノコが嫌いという当学科主任の内山賢治先生にスポットをあて、先生の航空宇宙に対する思いについてインタビューさせていただきました。
本日はお忙しいところ、お時間を頂戴しましてありがとうございます。
早速ですが、はじめに、先生ご自身のお話を少し伺わせてください。航空宇宙工学の道に進まれたきっかけは?
私が受験生のとき、自宅近くの大学に航空宇宙システム工学科があって、そこに入学したのが始まりです。入学後に参加した1泊2日の新入生オリエンテーションでのある先生との出会いが制御工学(※1)に進むきっかけとなりました。藤井裕矩先生と仰って、非常にユニークな先生です。現在も高空風力発電等でご活躍されています。藤井先生のところに1年生から配属され、その後、修士課程、博士課程とも藤井先生にお世話になりました。
大学の授業はどうでしたか?
制御工学関係以外でも、材料・熱・流体など、みなおもしろかったです。座学の他に製図、実験、加工実習などがあり、いまの当学科(日本大学理工学部航空宇宙工学科)のカリキュラムと共通する部分が多かったと思います。2~3人のグループで半年かけて宇宙ステーションの設計を検討し、発表するという機会もありました。2年生のときです。
当学科に来られたきっかけは?
博士号を取得した後、都立大学で助手として5年ほど研究を続けていました。そんなとき、先ほどの藤井先生に、当学科で制御をやる人を探していると教えていただきました。そこで在学時代から面識のあった嶋田有三先生(※2)と一緒に研究をすることになりました。
他の大学から来られて、当学科の学生の印象はどうでしたか?
いろいろな学生がおりましたけれども、積極性のある学生が多かったです。やる気のある学生は勉強も研究も妥協せずに取り組んでいて、すごいなと思いました。その中で増田開先生(※3)は、よく目配りの効く学生だったので、印象に残っています。
航空宇宙工学を学ぶ学生を指導する際はどのようなことに気を付けていらっしゃいますか?
例えば制御工学では、学生がイメージしやすいように、なるべく具体例を示すことを心掛けています。厳しい先生と言われることもあるようですが、そんなことはありません(笑)
当学科の良いところ、広く知ってほしいところは?
やる気のある学生が、やる気を満たせる環境が揃っています。未来博士工房(※4)や航空宇宙工学工房演習(※5)という取り組みを行っていて、これらに1年生から参加できます。航空宇宙というキーワードから想像されるようなコンテンツは揃っていて、1年生から専門性の高い学問・研究を経験することができます。
また当学科では4力学(※6)を軸にカリキュラムを組み立てており、4力学をベースにその他の専門科目が派生している形です。これは今後も変わらないと思います。軸がはっきりしているので、学生も勉強しやすいと思います。4力学以外の専門科目では、学生の希望もあり、プログラミングに力を入れるようになりました。本来の当学科の特色のひとつは、大きな実験装置・設備に実際に触れたり、モノづくりをしたりすることができるというものなのです。残念ながら感染症の影響で、現在は少し難しくなっています。そんな中でもプログラミングは自宅でも学習できますし、実験装置をマイコンで操作する等、その後の研究にも活かすことができると考えています。
航空宇宙工学を学ぶおもしろさとは、どこにあるとお考えでしょうか?
航空宇宙工学にはそれ自体先駆性があって、いろいろな夢を追いかけることができます。単なる夢ではなく、実現可能性の高い夢です。そんなところにやりがいやおもしろさがあるのではないでしょうか。
また航空宇宙では、極限の環境に合わせ、様々な視点で研究対象となる物を取り扱う必要があります。私の専門の制御工学では、行列やベクトルを使って複雑な運動を表現し、それを活かすという面白さがあります。
今後の航空宇宙産業はどのように変わっていくとお考えですか?
もっと身近に、活動が活発になっていくと思います。航空関係だったら空飛ぶ車やタクシーができて、気軽に空を飛べるようになります。近い将来、ドローンに人が乗っていると思います。
宇宙関係でも、月や火星が近づいてくるのではないでしょうか。自分が学生のときには夢物語でした。つい最近には火星でヘリコプター(NASAのインジェニュイティ)が飛んで、本当にすごいですね。10年20年後には月に基地ができて、人の行き来ができるようになるでしょうし、火星にも行けるようになっていくと思います。戻って来られるという保証があるなら、月や火星に行ってみたいですね。
先生ご自身の夢を教えてください。
将来的な話ですが、当学科の総合力で宇宙到達を実現したいですね。いつか火星を目指したい。当学科には多様なご専門の先生方がいらっしゃるので、不可能ではないと考えています。
ぜひ実現していただきたいですね。それでは最後に、当学科を目指す高校生に一言お願いします。
もし航空宇宙に関する夢を持っているなら、その夢を実現するための知識や経験を、当学科で得ることができます。ぜひ頑張ってください。
本日はありがとうございました。
聞き手日本大学理工学部航空宇宙工学科広報ワーキンググループ
- ※1
- 制御工学:入出力を有するシステムにおいて、その出力を自由に制御する方法全般にかかわる学問分野。内山先生のご専門。
- ※2
- 嶋田有三先生:当学科元教員。2014年3月にご退職なされました。ご著書に『わかる制御工学入門』、『飛行力学(共著)』があります。
- ※3
- 増田開先生:当学科教員。当学科をご卒業され、日本大学大学院理工学研究科航空宇宙工学専攻を修了されました。
- ※4
- 未来博士工房:理工学部には7つの工房があり、航空宇宙工学科では航空宇宙工房を担当している。航空宇宙工房では人力飛行機を代表するような6つの活動を行なっており、普段の授業だけでは物足りない、もっと何かがしたい、と思う学生向けに課外のプロジェクト活動を通じて授業以上のことを経験できる場として開設されている。
- ※5
- 航空宇宙工学工房演習:研究室ごとに取り組むテーマが分かれ、半期の間研究室に所属して教員や大学院生、上級生との交流を通じて、航空宇宙工学の実践を学べる(選択)専門教育科目。
- ※6
- 4力学:工業力学、材料力学、流体力学、熱力学を4力学と呼び、ほとんどの航空宇宙工学の専門科目に関係し、それらの基礎となる科目。