地球低軌道環境観測衛星「てんこう」
「てんこう」は低軌道上の様々な環境観測を行い,次世代の衛星開発や現在運用中の衛星にも有益なデータを提供することを主な目的とした超小型人工衛星です.
2018年10月29日13時08分に種子島宇宙センターからJAXAの温室効果ガス観測衛星「GOSAT-2(いぶき2号)」とドバイ政府の観測衛星ハリーファサット(KhalifaSat)の副ペイロード(相乗り)として打ち上げられました.
1.目的と達成目標
①地球低軌道環境の観測と情報の即時公開
近年,大学やその他の研究機関による超小型衛星の開発が活発になる中,高度2000km以下の低軌道上での故障がしばしば生じています.これらの原因の多くは太陽などからによる様々なエネルギーレベルの宇宙放射線に関するものだと言われています.
これらの不具合を防ぐために,私たちの開発する「てんこう」は地球低軌道の様々な宇宙環境をリアルタイムで測定し,情報を即時公開することを目的とします.
②先端材料の宇宙環境劣化の観測
「てんこう」では,次世代の工業製品を支える先進材料の宇宙環境での劣化を測ることも目的の一つとしており,各研究機関から注目されています.
2.概要仕様
直径約500mmの準球形状であり,周囲は太陽電池で覆われています.実験機は,構造部,熱制御部,衛星制御部,通信部,電源部のバス系,およびミッション部から構成されています.
サイズはH465×W500×D500mm以内であり,質量は約22.3kgとなっています.