ジェットエンジンやロケットエンジンでは,燃焼室内へ燃料を霧状に噴霧し,燃焼を生じさせています.燃料が高級アルカン系の成分を含む場合,熱炎が生じる前に冷炎と呼ばれる比較的温度の低い(概ね1000 K以下)炎が生じます.冷炎は,可視化が難しいほど微弱な発光でありながら,熱炎の発現に大きな影響をもたらすため,長年の研究対象となっています.
噴霧のように,空間上に液滴が多数存在する場合,ある液滴で生じた冷炎が近傍の液滴へと伝播する可能性があります.冷炎が液滴を伝播することで,燃料の蒸発が促進されたり,熱炎の発生時期を変化させる可能性が有り,その伝播挙動のモデル化は重要であると考えています.
本研究室では,生産工学部の野村研究室,菅沼研究室と共同で冷炎の伝播挙動の調査をしています.生産工学部が実験を実施しており,本研究室は数値シミュレーションによる解析やモデル化を試みております.